恋する君の可愛いつよがり。



「ねぇねぇ、六花」


この世の終わりだとでも言うようにうなだれていた私の耳に、再度聞こえてきたななちゃん先輩の声。


ふり返れば、すぐ隣にななちゃん先輩がいて、トンッと軽く肩がぶつかった。



「六花に聞きたいことがあるんだけど」



そう言ったななちゃん先輩の顔はかなりニヤけていて。


もの凄く嫌な予感がしたけど、とりあえず「はい…」と小さく返事しておいた。


すると。



「さっくんと今どうなってんの?恋人になって今日で一週間じゃない?どう?好きになった?」



ななちゃん先輩から返ってきたのは容赦ない質問の嵐。


しかも今一番気にしてることをピンポイントで聞かれて、顔がヒクヒクと引きつった。



「ちょっと六花、なにその顔?なにかあったの?」

「……いや、」


「六花。あたしに隠しことなんて100万年早いのよ!さぁ吐け!」


「ちょ、せんぱ……!」



持っていたボールをうばい取られたかと思うとガシッと荒々しく組まれた肩。


しかもそのまま体育館から連れ出され、外にあるベンチに無理矢理座らされた。



「……で?」



ドシンと乱暴に腰かけたななちゃん先輩が腕組みしながらそう問いかけてくる。



「え、えーっと……」


で?って言われましても……。


隣から向けられる視線がこわすぎて逆になにも言えない。


なんだか説教されてる気分なんだけど……。



……はぁ。仕方ない。ここまで来たら言うしかないか。



「実は……」



観念した私は、一週間の間にあったことを全てななちゃん先輩に話した。