恋する君の可愛いつよがり。


知りたいけど目が開かない。


ううん。開けたくない。


手の甲をいつくしむように優しく。


ゆっくりと呼吸に合わせて動いているその温もりにもう少しだけ浸っていたかった。



……何故だろう。凄く安心する。



ずっとこの温もりに包まれていたい。

ずっとずっと撫でられていたい。



心地良いこの温もりが私にそう思わせていた。


それなのに。



「そろそろ着くぞー」



その声が聞こえた瞬間、右手を包んでいた温もりがそっと離れて、急に右手が寂しくなった。


それによって自然と開いた瞼。



……あれ?