一瞬。
本当に一瞬だった。
けど、今、確かに佐久間と目が合った。
それがどうしようもなく嬉しくて。
「……っ、ここがいい!」
気づけば声を張り上げてそう言っていた。
こんなこと、普段の私なら絶対に言わない。
けど、話しかけなきゃいけないという決意が私を突き動かした。
「……そ。じゃあ座れば」
とくに表情に変化はないまま素っ気なくそう言い放った佐久間は、チラッと隣の席に目を向けたあと、再び窓の外へと視線を移した。
それを見届けた私は心の中でヨシッとガッツポーズし、そっと佐久間の隣へ腰かける。
そして、荷物を足元に置いたあと、チラリ、佐久間を盗み見た。


