恋する君の可愛いつよがり。



「依那ちゃんまた明日!」


「はーい。急ぎすぎて転ぶなよー」


「もう!転ばないってば!」



ふくみ笑いする依那ちゃんにむぅとふくれた後、いきおい良く立ち上がった私は、すばやく鞄を持って教室を飛び出した。



めざすは体育館横にある部室。


今ならまだ走ればギリギリ間に合うかもしれない。


そう思った私はさらにスピードを上げ、廊下を突っ切った。


バスケは下手くそだけど走りには自信があるんだから、と心の中で自慢げにつぶやいていると、早くも部室が見えてきた。


さすが私。


ホーント、走るだけならバスケ部員の誰にも負けないんだけどなぁ。


なんてのんきに思っていたのがいけなかったのか。


「ブッ……!!」


もうしわけないことに校舎の角から出てきた人と思いっきりぶつかってしまった。