「佐久間、離して!」
みんなが見てる!
首に回された腕を押しのけようとするけど、ほどこうとすればするほど腕の力が強くなって、なかなか解くことが出来ない。
「はーなーしーてー!」
今までもこんな風に抱き着かれてたけど、あの時と今じゃ違う。
こう、なんていうか……こそばゆい感じがして落ち着かない。
そんな私の心情なんてこれっぽっちも気づいていない佐久間は、
「瞬って呼べよ」
まるでみんなに見せつけるかのように耳元でそうささやいてきた。
「……っ、もう佐久間のばかー!!」
当然私がたえられる訳がなく、ドンッと佐久間を突き飛ばして素早く由弦くんの後ろに隠れる。


