けど、先輩はななちゃん先輩に叩かれたぐらいじゃビクともしなくて、逆にななちゃん先輩を押しのけて私の前へとやって来る。
佐久間も背が高いけど、武ちゃん先輩はもっと高いから威圧感が半端なくて。
けど、こわいと思えないのは、私の頭を撫でる武ちゃん先輩の手が優しいから。
「相原、良かったな」
そう言って、ニッと笑う武ちゃん先輩は面倒見がいいお兄ちゃんって感じで、自然と頬がほころぶ。
由弦くんが優しい王子様だとするなら、武ちゃん先輩は頼りになる騎士って感じ。
んでもって、ついでに言うなら佐久間は偉そうな王様ってとこか。
「先輩、これ俺のだから触んないでくれる?」
──先輩に対してこの偉そうな物言い。うん、やっぱり王様で間違いない。


