佐久間のばかっ! ドキドキしてたのが馬鹿みたいじゃない。 もう絶対手なんか繋ぐもんか……! ……そう思ったのに。 「六花」 私の足は、佐久間の呼びかけですぐに止まった。 「六花」 「……っ、」 ……ずるい。 こんな時に名前を呼ぶなんてほんとずるい。 「六花、行くなよ」 名前で呼ばれると弱いって、絶対分かっててやってる。 「……ククッ。顔真っ赤」 「……うっさい」 佐久間の思惑どおりだって分かってるのに、それでも素直になってしまうのは、やっと両想いになれたからだと思う。