「へ?」
拗ねているような怒っているような、そんな声が落ちてきて。
「佐久間?」
引っぱるのを止めて佐久間を見上げると、佐久間は声色と同じく怒ってるような拗ねてるような、何とも表現しがたい顔をしていた。
「い、いや、無理っていうのは佐久間が嫌とかじゃなくて、えっと……その、は、恥ずかしいって言うか……」
誤解されたくなくて必死にそう弁解するけど、慌てすぎてうまく説明できない。
「……ククッ」
そんな私の耳に笑いをこらえるような小さな声が届いて、すぐさま佐久間を見上げた。
「ちょ……」
もしかして、わざとだったわけ!?
クツクツと肩を震わせて笑う佐久間はどこからどう見ても怒ってなんかいなくて。
「もう、知らない!!」
佐久間の思い通りになったことにムカついて、繋いでいた手を勢いよく振り払って先に歩き出した。