「はい、どーぞ」
「ありがとー」
「どういたし──」
「へ?」
辞書を手渡そうとした時、不意に触れた慶太の手。
その手をギュッと握りしめ、もう片方の手も添えて強く握りしめる。
「え?え?六花?」
「んー、違う。こうかな」
慌てふためく慶太を無視し、むぎゅっと手を握り直す。
……やっぱり何も思わない。
絡みつく手のひらを見下ろして思い出すのは、佐久間のこと。
佐久間と手を繋いだ時、心臓が飛び出すかと思うほど胸が高鳴った。
あの時と同じように慶太の手を握ってみてもなにも変化はない。
それはやっぱり佐久間のことが好きだから?
好きだからあんなにも緊張するの?


