佐久間………佐久間……っ!!



走るたび身体中が痛むけど、そんなのもう気にならなかった。



風を切りながら遊歩道を走り抜け、会場である体育館を目指す。



距離にしたら何百メートルもないのに、なぜかとてつもなく長く感じて。



早く佐久間に会いたい。


早く佐久間の顔が見たい。


頑張れって大きな声で言いたい。



その想いでいっぱいだった。






体育館に入り、人込みをすり抜け、階段を駆け上がる。



聞きなれた歓声を耳で捉えたときにはもう息も絶え絶えで。



でも、それでも言いたかった。










「……っ、佐久間ー!!頑張って!!」







伝えたかった。



いつもならこんな大きな声で応援なんかしない。


こんな目立つようなことしない。



だけど、今日だけは──







「佐久間……」






──今日だけは、特別。