由弦くんのその言葉を聞いて浮かんだのは、たった一つの言葉。
“好き”
「……っ、うそ……」
佐久間が……私のこと好き?
「由弦くん……」
まるでそうだよと言ってるみたいに優しく微笑んでくれる由弦くんに胸の奥から熱い感情がこみ上げてきた。
脳裏に浮かぶのは、他の誰でもない大好きな人、佐久間の顔。
「……っ、佐久間……っ」
キュッと胸元を掴んで、大好きな人の名前を紡ぐ。
……会いたい。
佐久間に会いたい。
会って、今度こそ好きだって伝えたい。
「行ってあげてよ。瞬くん待ってるよ」
「……高崎さん……」
道を開けてくれる高崎さんにコクリ、頷いて、その場から駆け出す。


