恋する君の可愛いつよがり。



私の頭をポンッと叩いて、外に出ていく佐久間。



「澤本、相原を頼む」


「うん。まかせて」



すれ違いざまにそう言ったかと思うと、足を止めて振り返ってきた。


けど、佐久間の視線は私ではなく、後ろにいる高崎さんに向けられている。




「高崎、これ以上相原を傷付けたら許さねぇから」




……っ、佐久間……。



それだけ言い残して走っていく佐久間。




“頑張って”



そう言いたいのに言葉が出てきてくれなくて。



せめて見えなくなるまでと、佐久間の背中を追い続けた。