恋する君の可愛いつよがり。



「高崎さん!!」



何度呼びかけてもやめようとはしない高崎さんに本気でヤバイと思った。



逃げるにも狭い倉庫の中じゃ限度があって。


しかも他にも凶器になりそうなものがウジャウジャあるから気が抜けない。



運が良いことにバットには当たってないけど、代わりにその辺にある器具にぶつかってあちこち怪我してて地味に痛い。




「高崎さんやめて!!」



扉まで追い詰められて、もはや絶対絶命の私。



扉を開けて外に出たらいいんだけど、この状況で背を向ける勇気なんてない。



後ろ手で簡単に開けられるほど軽い扉じゃないし。




「高崎さん!!」




もう駄目っ……!!




そう思った時、




「相原!!」




扉越しに佐久間の声が聞こえた。




バッドが振り下ろされるのとほぼ同時に差し込んだ太陽の光。



そして……




「……っ、佐久間っ!!」




ガッと響いた打撃音。