恋する君の可愛いつよがり。





「……っ」



目が覚めたのは薄暗い部屋の中だった。



目を開けた瞬間、目の前にボールがあって。


それが籠に積み上げられたサッカーボールだと気付くのにそんなに時間はかからなかった。



……誰も、いない?



まだ痛みの残る腹部を押さえながらゆっくりと起き上がる。


振り返って確信した。



ここは体育倉庫だということを。



学校の体育倉庫で見たことがあるような器具や道具がそこらへんに置かれている。



さっきの男たちが私をここに閉じ込めたのだろうか。



だとしたら、なんでここにいないわけ?


なんとか脱出しようと倉庫内を見回してみるけど、出られそうな窓や扉は見当たらない。



唯一出られそうなのはこの体育倉庫の出入り口である扉。



でも、こんな所に閉じ込める奴が施錠をしないなんて考えられない。



きっと閉まってるだろう。



そう思っていても一応確認はしてみる。




「あれ?」



もしかして開く?



グッと力を入れて引けば、少しだけ動いた扉。



ラッキーとさらに力を入れると、引くよりも先に扉が勝手に開いた。



「えっ」



そう零したときには扉は全開になっていて。




「……高、崎さん……?」



扉の向こうにいたのは、なんと聖南バスケ部のマネージャー、高崎さんだった。