*
「六花、どこ行くの?もう男子の試合始まっちゃうよ?」
「……すみません。始まるまで散歩してきます」
「分かった。試合始まるまでに戻ってきなよ」
「はい」
佐久間と話さなくなって五日。
今日は全国大会をかけた地区予選の日。
男子の出番は女子より早いから試合の前に応援することになってるんだけど、どうにも気分が乗らなくて。
「会いたくないなぁ……」
応援したいのに、今は佐久間の顔を見るのがつらい。
佐久間と高崎さんが会ってることが発覚したのは昨日のこと。
それなのに、その噂はすでに部活中に広まっている。
どうやら二人を見かけたのは竜也くんだけじゃないらしく、聖南バスケ部の人たちも何人か見かけていたらしい。
高崎さんが佐久間のことを狙っているのは合宿のときですでに分かっていたから、バスケ部の人たちはそんな大して驚いてなくて。
どちらかと言えばバスケ部のマドンナを取られて悔しがってるって聞いた。
驚いていたのは武ちゃん先輩とななちゃん先輩の二人だけ。
二人はすぐに佐久間に問い詰めようとしたけど、理由なんか聞きたくなかったから「いいです」と言って引き止めた。
それから二人は佐久間の話題を一切出さなくなり、カップルごっこもうやむやなまま。
「六花、どこ行くの?もう男子の試合始まっちゃうよ?」
「……すみません。始まるまで散歩してきます」
「分かった。試合始まるまでに戻ってきなよ」
「はい」
佐久間と話さなくなって五日。
今日は全国大会をかけた地区予選の日。
男子の出番は女子より早いから試合の前に応援することになってるんだけど、どうにも気分が乗らなくて。
「会いたくないなぁ……」
応援したいのに、今は佐久間の顔を見るのがつらい。
佐久間と高崎さんが会ってることが発覚したのは昨日のこと。
それなのに、その噂はすでに部活中に広まっている。
どうやら二人を見かけたのは竜也くんだけじゃないらしく、聖南バスケ部の人たちも何人か見かけていたらしい。
高崎さんが佐久間のことを狙っているのは合宿のときですでに分かっていたから、バスケ部の人たちはそんな大して驚いてなくて。
どちらかと言えばバスケ部のマドンナを取られて悔しがってるって聞いた。
驚いていたのは武ちゃん先輩とななちゃん先輩の二人だけ。
二人はすぐに佐久間に問い詰めようとしたけど、理由なんか聞きたくなかったから「いいです」と言って引き止めた。
それから二人は佐久間の話題を一切出さなくなり、カップルごっこもうやむやなまま。


