「アイツ、なに考えてんだろ」



依那ちゃんが不思議に思うのも無理はない。


だって、月曜日までは本当にいつも通りだったから。



私があげたリストバンドをつけてきて、わざわざ依那ちゃんに見せつけてきたほど。



だから分からないんだ。


急によそよそしくなった原因が。






「六花ー、教科書サンキュー」


「慶ちゃん。先生にバレなかった?」


「全然」


「そ。良かったね」




慶ちゃんから教科書を受け取って、机の中に入れる。




「って、なんで座ってんの?」



教室に戻らなくていいの?



「六花」


「え、なに?」



空席だった前の席に腰を下ろした慶ちゃんが神妙な面持ちで私を手招きしてくるから、依那ちゃんと二人、そろっと慶ちゃんに近付いた。



「なぁ、佐久間のこと聞いた?」


「……佐久間のこと?」