「……馬鹿じゃないの。来週大事な試合があるんだよ?風邪引いたらどうするの?」
スクッと立ち上がって、佐久間の顔を見ずにキッチンへと向かう。
この期に及んで憎まれ口しか叩けないなんて、ほんと素直じゃない。
分かってるけど、素直にごめんねなんて言えないよ。
「……なぁ、家の人いねぇの?」
「へ?」
家の人?
なに、いきなり。
「いない、けど……」
「仕事?」
「……旅行」
「ふーん……」
なんで、そんなこと聞くの?
興味深そうに部屋を見渡す佐久間に素直に答えてしまう私。
だって、意味が分からない。
両親がいないと何かあるの?
「俺、泊まっていい?」
「は?」
「ここに」
「はぁ?」
え、なに言ってんの?
「泊まる?」
「うん」
「ここに?」
「うん」
は?
「はぁぁぁぁぁぁぁ!?」


