なんで……佐久間がここにいるの?
なんで、佐久間の隣に高崎さんがいるの……?
「なんで……」
一緒にいるの……?
目の前にいるのはまぎれもなく佐久間と高崎さんの二人で。
二人とも私と由弦くんを交互に見ていた。
けど、驚いている感じはない。
「相原」
「……っ」
こちらへ一歩足を進めた佐久間にビクッと肩が揺れて、それと同時に私の足も一歩後ろへと下がる。
……あぁ、そういうことか。
気付いてしまった。
佐久間と高崎さんがここにいる理由。
「……っ、」
「六花ちゃ──」
「ごめん由弦くん。やっぱ帰る」
くるり、振り返って、俯いたまま由弦くんに謝罪したあと、その場から駆け出した。
「えっ、六花ちゃん!?」
「相原!!」
「待って、瞬くん!」
由弦くんとのすれ違いざまに聞こえた佐久間の声。
けど、振り返らなかった。
ううん、振り返れなかった。
だって、高崎さんの声が聞こえたから。
佐久間を呼び止める高崎さんの声が。
「佐久間の、バカ……」
──佐久間が私を追いかけてくることはなかった。