「門限ないんだ。じゃあ晩御飯も食べにいく?」
「あ、いいね!でも由弦くんは大丈夫?」
「俺男だから門限ないよ」
「うわー、うらやましい!」
私も男だったら門限なかったのかな。
うん。なかったと思う。基本うちの両親放任だし。
女の子だから一応門限があるっていうだけ。
門限って言ってもそこまでキッチリしてないしね。
「じゃあ行こっか」
「うん。あー、晩御飯なに食べようかなー」
「え、六花ちゃんまずは映画でしょ?気になるのが映画じゃなくてご飯なの?」
「……うっ。だって外食久しぶりなんだもん」
映画も気になるけどご飯も気になるの。
おいしいご飯が食べたい!
「由弦くん意地悪だから置いていこっ!」
「ごめんごめん六花ちゃ──」
「瞬くん!!」
「………え?」
瞬、くん……?
聞き覚えのある声と名前が耳に届いて、その場に足が止まる。
聞こえてきた方へゆっくり振り返ると……
「……っ、佐久、間……?」
振り返った先にいたのは、ここにいるはずのない人だった。


