はい、と笑顔で手渡されたピンクのリストバンドを見て、また由弦くんを見る。
「……っ」
ニッコリ笑顔の由弦くんを見て、やっと何が言いたいのか分かった。
「もう!由弦くん!!」
「ちょ、六花ちゃん暴力的!」
「知らない!」
「え、買わないの?」
「………」
「あ、買うんだ」
ピンクのリストバンドを持ってスタスタと歩き出す私に、由弦くんの楽しそうな声が突き刺さる。
くやしいけど、このリストバンドを手放すことはできない。
だって、おそろいのリストバンドをしてるところを想像しちゃったから。
佐久間とおそろいとか嬉しすぎて……。
「……六花ちゃんって顔に出やすいんだね」
「……っ、もう由弦くん!!」
ひょいっと顔をのぞき込んできた由弦くんにパンチをくり出して、「すみませーん」と店員さんに話しかけた。


