「由弦くん、見てこれ。リストバンドに好きな文字刺繍してくれるんだって!」
「へー、ほんとだ。すごいね」
「ね。このピンクと白のボーダーかわいー」
見本に置いてあるリストバンドを手に取って左手首に通す。
由弦くんに「見て」と見せれば、「ほんとだ、かわいいね。六花ちゃんに似合ってる」とほめてくれた。
ほんと、このリストバンドかわいい。
自分の名前入れられるなんて……って。
「あ」
「あ」
そう一声発したのと同時に、顔を見合わせた私と由弦くん。
「今、きっと同じこと思ってね」
「多分」
リストバンドをしている腕を寄せ合い、ふふっと笑う私たち。
「こっちの方が佐久間っぽいかもね」
「うん。いつでも身につけていられるし!」
「うわ、六花ちゃんがそんなこと言うなんてめずらしい」
「えっ!?いや……わ、私なにも言ってないから!」
「いたっ、痛いって六花ちゃん!」
ポカポカと由弦くんの腕を殴って、サッと顔を背ける。


