「武也が可哀相で見てらんなかったよ」


「……すみません。あとで武ちゃん先輩にごめんなさいLINEしておきます」



佐久間とは合宿の日から一度もしゃべってない。



何度かしゃべりかけられたけど、依那ちゃんに張りついて佐久間を無視し続けた。


けど、それはそれで佐久間を意識することになって、結果、知恵熱が出るまでになってしまった。



「さっくんと仲直りしなよ」


「………」


「じゃないと高崎さんに取られちゃうからね」


「……え」



その言葉に顔を上げれば、目が合った先輩は「はぁ…」と肩を竦め、ため息をついた。



「今日、学校に高崎さんが来たよ」


「……え」



高崎さんが来た?



「学校、に?」


「そう。ホラ、合宿の時ゆづと土曜日デートする話ししてたじゃない?あれで自分もさっくんとデートしたいって」



佐久間と、デート……。



「やだ……」



そんなのやだ。


佐久間と高崎さんがデートなんて絶対にやだ。