恋する君の可愛いつよがり。



……え、高崎さん?



「瞬くん、今日も試合頑張ってね!あたし、応援してるから!」



私たちの存在なんて気にもしていないのか、佐久間の腰に抱き着いて頬を寄せる高崎さん。


そんな高崎さんに言葉を失い、唖然とする私たち。


佐久間も突然のことで驚いてるらしく、対応出来ずにいる。


けど、ハッと我に返ったらしい佐久間は、引き離そうと高崎さんの肩に手をかけた。



「オイ、離れろよ」


「やだっ。試合まで瞬くんのそばにいる!」



はたしてその可愛らしいその上目づかいに勝てる男なんているのだろうか。


いや、きっといない。



それが分かってるから、私は佐久間から視線をはずして由弦くんとななちゃん先輩を見た。



「由弦くん、先輩、行こう」


「オイ!相原!」


「佐久間には関係ないでしょ!高崎さんとイチャついてれば!」


「は?関係ないってどういうことだよ!俺達は──」


「どうせニセモノなんだからいいじゃない!」



あまのじゃくな私には“高崎さんと離れて”なんて口が裂けても言えない。



高崎さんみたいに抱き着いたり、ましてや上目づかいなんて………そんな可愛いこと、絶対に出来ない。