「佐久間、六花ちゃん一日貸してよ」
「無理」
「え、さっくん独占欲!?それ独占欲!?」
「相原は俺の彼女なんだけど」
「んー、それを言われたら何も言えなくなるよね」
「ちょっと!無視しないでよ!」
……あの~頭上で会話しないでくれますか。空しくなるから。
佐久間と由弦くんは男だから仕方ないとして、ななちゃん先輩も170センチあるから155センチしかない私は置いてけぼり状態。
特に今なんて佐久間に羽交い絞めにされてるからよけいに存在感ないよね。
「佐久間、とりあえず離れて。由弦くんも勝手に話進めないで」
これ以上勝手に話を進められるわけにはいかない。
そう思って強く言うと、由弦くんは「ごめんね、六花ちゃん」とすぐに引いてくれた。
けど、羽交い絞めしてる佐久間は力を緩めるだけで離してはくれなくて。
仕方ないから、無理やり腕を退かして距離を取る。
「佐久間、」
私、デートしないから。
そう言おうとした時、
「瞬くん、おはよう!」
佐久間の背後から可愛らしい声が響いた。


