「ちょ、急に出て来ないでよ!」
なんでいつも背後から急に現れるわけ!?心臓止まりそうになるからやめてよ!
っていうか、
「苦しい!離して!」
なんで私抱きしめられてんの!?
いや、抱きしめてるなんてそんな可愛いものじゃない。
これは羽交い絞めだ。
そりゃちょうどいい位置に首があるんだろうけどさ、毎回毎回首絞められる私の身にもなってよ!
嬉しさよりも苦しさの方が勝ってるってありえない!
「ぜってぇ離さねぇ」
「……へ?」
今、なんて言った?
あまりにも小さい声だったからハッキリと聞こえなくて、抵抗していたのを止めて下から佐久間を見上げる。
けど、佐久間の視線は由弦くんへと向けられていて。
一瞬聞き間違いかなと思ったけど、再び聞こえた「離すわけねぇだろ」という言葉に聞き間違いなんかじゃないことを確信した。
っていうか、離すわけねぇだろって……。
まさかこんな所でそんなことを言われるなんて思わなくて、恥ずかしさのあまり俯く私。


