「って、ななちゃん先輩!そんなに引っぱったら可哀相!」



目を離している間に由弦くんの頬っぺたが可哀相なことになっていた。


慌てて止めた私にななちゃん先輩が「これぐらいで許してやろう」と腰に手を当て、フンッとそっぽを向く。


なんだか由弦くんとななちゃん先輩の関係が分かった気がするけど、そこは突っ込まないでおいた方がいいのかもしれない。



「あ、六花ちゃん、昨日どうなった?うまくいった?」


「………」


「……あれ?」



由弦くん、思いっきり地雷踏んじゃったよ。



「ゆ~づ~る~」


「え、なんで?うまくいったんじゃないの?」


「誰がうまくいくか!アンタのせいで余計にこじれたわ!」



再びななちゃん先輩につめ寄られることになってしまった由弦くんが、助けてと言わんばかりに私に視線を寄越してきたけど知らん振り。


だって、昨日あれだけ助けを求めても助けてくれなかったんだもん。

これぐらいの意地悪いいよね。


……そう思ったけど。



「六花ちゃ~ん!」



さすがに可哀相になってきて、由弦くんの頬っぺたを引っぱりまくっているななちゃん先輩を止めてあげた。