「先輩、練習戻りましょう!今日こそ聖南をやっつけなきゃ!」


ななちゃん先輩からボールを奪い取って、スクッと立ち上がる。


「ほら、早く!」とななちゃん先輩の手を引けば、ななちゃん先輩は複雑な表情のまま立ち上がった。



と、その時。



「こんにちはー!今日もよろしくお願いします!」



体育館の出入り口からゾロゾロと入ってきた聖南バスケ部。


試合の時間は二時からなのになんでこんなに早く?


そう思ったけど、そういえば昨日も三十分前には来てたっけ。







「なな!六花ちゃん!」


「由弦ー!」


「……え?なんでそんなに怒ってるの?」



かけ寄って来るなりななちゃん先輩に頬っぺたを抓られている由弦くん。


昨日知ったんだけど、ななちゃん先輩と武ちゃん先輩と由弦くんは幼なじみらしく、中学校まで一緒だったんだとか。


モテモテの由弦くんの頬っぺた抓るなんて、幼なじみのななちゃん先輩にしか出来ないよ。


あ、そんなななちゃん先輩と由弦くんを聖南の女子バスケ部の子がうらやましそうに見てる。