恋する君の可愛いつよがり。



違う、なんて言える空気じゃなかった。


あたしを見つめる佐久間の瞳があまりにも真剣で。


違うなんて言えない。



あたしは……。



「佐久間の、彼女……?」


「違うのかよ」



そう、だけど。


でも、それはななちゃん先輩と武ちゃん先輩に無理矢理決められた偽りの関係ってだけで、本当の恋人じゃない。



「今付き合ってんのは俺だろ」



付き合ってる……。


あたしと佐久間は付き合ってる。



「浮気してんじゃねぇよ」



佐久間と……って。



「は?」



浮気?



「そうだろ。澤本と二人っきりでこんな所にいるんだから」


「………」


「しかも好きとかなんとか言ってたし。お前──」


「だったら」


「……っ」


「佐久間は浮気じゃないの?」


「……は?」