恋する君の可愛いつよがり。



由弦くんに助けを求めようと振り向けば、由弦くんは笑顔で手を振っていて。



ちょ、由弦くん!?



それは、明らかにバイバイという仕草だった。


その証拠に、くるりと踵を返した由弦くん。


口パクで“助けて!”と何度も言ってるのに、返事は口パクで“頑張れ”だけ。



そんな殺生な!!



まさか見捨てられるなんて思ってもいなくて。



“由弦くんの裏切り者ー!”



いまだに笑顔で手を振り続けている由弦くんに口パクで叫んで、これから起こるであろう出来事にブルリ、身震いした。



「さ、佐久間さん?」



顔!顔がコワいんですけど!


見つめられるのは嬉しいけど、そんなコワい顔は勘弁です!



「あの……、」


「お前は俺のだろ」


「……え?」


「お前は俺の彼女だろ」


「さく──」


「違うのかよ」


「………っ」