別に聖南との合同肝試しに不満があるわけじゃない。
肝試しは楽しみだ。
いや、正確に言えば楽しみ“だった”。
聖南と待ち合わせをする前までは。
ここに来るまでは、もしかしたら佐久間とペアになって回れるかもとか、そこで何か進展があるかもとか。
一人でいろいろと妄想をふくらませて楽しんでいたけど。
そんな私の妄想を、あの女の子はこっぱみじんに粉砕してくれたんだ。
「……ななちゃん先輩、私、サボっていいですか?」
「え?」
「もう帰りたい。今すぐ帰りたい。あんなの見るぐらいなら一人で練習してる方がマシだ」
「り、六花、落ち着いて。ホラ。みんないるじゃん!みんなで楽しもう!」