恋する君の可愛いつよがり。



「ちょっと!私が由弦くんと──」


「“由弦くん”?」


「ヒッ……!」



な、なんでそんなに怒ってるの!?

怖すぎるんですけどっ……!



グイグイと背中を押されながらも無理矢理振り返れば、そこには鬼のような形相で私を見下ろす佐久間がいて。


その恐ろしい形相に不覚にも本気でビビッてしまった。



「ゆ、由弦くん、またね!」



ここにいたらヤバイ。


本能的にそう感じ取った私は、由弦くんに申し訳ないと思いながらもこの場から逃げることにした。



由弦くん、ごめん!次会った時ジュース奢るから!!


由弦くんに向かってパンッと両手を合わせて一目散に逃げ出す。






この時の私は、佐久間と由弦くんが二人っきりになる事に何の違和感も持ってなかった。


だって、二人は中学の時からのライバルで顔見知りだったから。


練習試合の時だってそんな火花を飛ばしてもなかったし。


だから、二人っきりにしても問題はないと思ってた。


まさか私がいなくなった後で火花を散らしているなんて。


そんなの思ってもいなかったんだ。