恋する君の可愛いつよがり。



「えっ!?佐久間?」



なんで佐久間がここにいるの?

さっき体育館にいたよね?


っていうか、私佐久間にもたれかかってる……!?



佐久間に密着していることに気づくや否や、私は慌てて体を起こそうと上半身に力を入れた。


けれど。


「……っ」


それを佐久間の右腕によって阻止されてしまった。



「さく──」


「なぁ、お前ら知り合いなの?」


「……へ?」



背後から巻きつけられた佐久間の右腕。



「……っ、」



まるで後ろから抱きしめられているかのようなその感覚に、不覚にも胸がキュンとときめいてしまった。



「さく、」


「澤本、答えろよ」


「……っ」



黙っとけと言わんばかりに込められた右手の力に、また一つ心臓がトクンと音を立てる。


駄目だ、と思った。



今すぐ佐久間から離れなきゃ。


じゃないと平常心を装えない。


だって、ありえないぐらい心臓が激しく波打っているんだもん。


顔だってきっと真っ赤になってるだろうし、もしかしたら心臓の音が佐久間に聞こえてるかもしれない。


このままの状態だったら、佐久間のことが“好き”だってバレてしまう。