恋する君の可愛いつよがり。



……うわっ。近い。



「ゆゆゆ由弦くん!?」



ちょっと、近すぎる!


すぐ目の前には由弦くんの端整なお顔があって、さっきの距離なんてまるで非じゃない。


下手すれば額と額がくっつきそうな勢いだ。



「んー、熱はないみたいだけど……。日射病かな?気分悪くない?」


「わわわ悪くない!」



「ゆづ……」


だから、近いってば……っ!


……突き放したいけど。


もの凄く突き放したいけど!


でも、由弦くんだからそれが出来なくて。


心の中で何とも言えない感情が押したり引いたりを繰り返している。


あぁぁぁぁ。どうしよう。



そう心の中で叫んだ時だった。



「ぅわっ!!」


突然、ガシッと掴まれた頭頂部。


「ちょ!?」


かと思えば、無理矢理後ろに引かれて体が後退していく。


有無も言わさず加えられる力に私はどうすることも出来なくて。



「……っ、」



やっと自由が利くようになったのは、ポスンと誰かの体に受け止められた時だった。



「え?え?え?」



受け止められたまま、ただそれしか発せられない私。


だって、意味が分からない。


一体何がどうなって……って、


えっ!?


事態を把握出来たのは……。



「簡単に触らせてんじゃねぇよ」



真上から佐久間の不満げな声が落ちてきた時だった。