恋する君の可愛いつよがり。



「由弦くん、ありがとう!」



本当に、本当にありがとう。


あの時、海で由弦くんに出逢わなかったら。


あの時、背中を押してくれてなかったら。


私は今も佐久間と仲直り出来ないまま落ち込んでたと思う。



「お礼なんていいよ。頑張ったのは六花ちゃんなんだから」


「由弦くん……」



違うよ。


由弦くんが『素直になって話してみたら?』って言ってくれたから、

だから素直になろうって思ったんだよ。


由弦くんのおかげで佐久間と話してみようかなって思ったの。


だから、私は由弦くんにお礼を言わなきゃいけない。



「佐久間、なんか言ってた?」


「なんか?うーん。言ってたんだけどあんまり意味が分かんなくて……」


「意味が分からない?」


「うん。なんか、バカな自分に呆れたとか何とか言ってたけど……」



いまだにあの言葉の意味が分かんないんだよね。




あの日、無事仲直りして部屋に戻ってからも佐久間の言葉の意味をずっと考えてたんだけど答えは一向に出てこなくて。



「でも、怒ってないって言ってたし、その後前みたいに戻るって言われて……」


「言われて?」


「……え、いや……」



壁ぎわに追いつめられました、なんて恥ずかしくて言えない。