恋する君の可愛いつよがり。




「おつかれー」


「やっぱ聖南は強ぇなー」



聖南高校との初練習試合が無事終了し、私たちは今、この後にある男女合同練習に向けて体力を回復させているところだ。



水分補給をしたり寝転がったり、あとはさっきの練習試合について語ったり。


つかの間の休息を各自自由に過ごしている。



一方、聖南高校はと言うと、体育館の端の方で自分たちの合宿所へ帰る準備をしていた。




「強かったねー。聖南。特に男子!」


「うん。すっごい強かった!」


さっきの試合で使用していたボールを一ずつていねいに磨きながら、チラチラと聖南高校の方を盗み見る私たち一年女子。


でも、本当に、ため息がつきたくなるぐらいさっきの試合は凄かったんだ。


レベルが違いすぎるっていうかなんていうか、さすが優勝候補って感じ。


もう、とにかく言葉では言い表せないぐらい凄かった。



聖南高校との練習試合は私にとって本当に驚愕の連続で。


強いとは先輩たちから耳にタコが出来るほど聞いていたけど、まさかあんなにも強いなんて思ってもいなかった。



目をつむれば、ハッキリと脳裏に浮かび上がる試合の光景。


試合が始まった瞬間、由弦くんの手から放たれた鋭いパスはある選手の手に渡り、受け取ったかと思えば次の瞬間にはその選手の手にはボールが無くなっていた。


『凄い……』


繰り出される的確なパスに、私は一瞬にして魅了されてしまった。