……うわ。アレが聖南高校バスケ部?
坂井先生に連れられて体育館に入ってきたのは、“SEINAN”と書いたユニフォームを着ている数十人の男女達。
……うっ。貫禄ありまくり。
敵地にも関わらずゆっくりとした足取りで歩いてくるその姿はさすが県1、2を争う強豪チームで。
堂々たるその姿に、私は不覚にも初っぱなからビビッてしまった。
だって、みんな背が高くて強そうなんだもん。
男子なんて一体何センチあるんだろう?
……って。
「あっ!」
男子の中に、一人見知った顔を発見。
そう、それは昨日、海辺で会った聖南高校男子バスケ部のメンバー、澤本 由弦くんだった。
“由弦くん!”
心の中でこっちに向かってくる由弦くんに呼びかければ、まるでその呼びかけに気づいてくれたかのように振り向いてくれた由弦くん。
あ、目が合った。
私の視線に気づいてくれた由弦くんは目が合った瞬間、にっこりと優しく微笑んでくれて。
しかもごていねいにヒラヒラと小さく手まで振ってくれた。
気づいてくれたことが嬉しかった私は、皆の前にも関わらず私も同じようにヒラヒラと手を振り返す。