いつものように、教室のうしろ側のドアから中へ入る。 クラスのやつらがそれぞれの席に座って話している中、俺は違和感を感じた。 「……市原さんがいない」 ついさっき、げた箱で話したのになんでいないんだ? カバンを机に置いて、立ったまま斜め前の席を見つめる。 「日向、おっはー!」 「……ああ」 隣からテンションの高いあいさつをされ、頷くしか出来なかった。 そいつは中間テストが返却されたときに絡んできた高畑(たかはた)っていう、野球部のやつ。 ……あ、高畑なら知ってるかも。