【晴Side】



「ちょっと晴!びしょ濡れじゃない!!」


「お母さん、タオル持ってくるから!玄関にいなさいよ」



あたしはお母さんの声に力なく頷いて、制服からポタポタと落ちる滴を見つめる。


その滴をたどって、床に広がる水に視線を落とした。



……こんなに、びしょ濡れなのに頬がまだ熱い。




「大丈夫?寒くない?」


「さ、寒い……」



心配そうにそう聞いてくれた雪姉ちゃんに、あたしは小さな声で返事をした。


学校から外に出たときだって少し寒かったのに。


こんなにびしょ濡れになったからさらに寒さが増した。