手が、震える。 彼は静かに口を開いた。 「最低だな、お前」 暗闇は彼を、そしてわたしを飲み込んでいく。 「お前がしたことは俺のためなんかじゃない。自分のためだ」 そうなのかもしれない。 心のどこかで、彼を自分と重ね合わせて見ているわたしがいた。 わたしは救いたかったのだ。 彼だけじゃなく、わたしをも。 でも結局、わたしに残ったのはやり切れなさと、そして後悔だけ。 それだけだった。