「もうしないから、絶対に」




眉を下げながらそう言う千堂くんに、私はどうしたら良いか分からない。



コロコロと変わる彼の表情についていけなくて、一体、どれが本当の千堂くん？なんて頭を悩ませる。



今のは私がどれだけ無防備で浅はかな考えを持ってるかってことを教えてくれたってこと？


そういうことなの？





「……大丈夫、泣いてなんかないよ私」


「ごめん、阿波」




涙が流れるどころか、跡すらない頬を撫でながら、そう言って千堂くんは謝る。





「怖かったよな？でも今回は俺だったから、俺だったから……」

「せ、んどう……くん？」

「頼むよ阿波、もっと自覚持ってくれよ。お前は自分で思ってるよりも、ずっとーー」

「……ずっと、なに？」




そこで言葉を止めて、私がその先を聞いても、千堂くんは首を横に振るだけで答えてくれそうにはない。


苦しそうに顔を歪ませるその表情に、次第に私はなにも言えなくなって俯いた。