世界で一番、ずるい恋。




遠回りして、やっと見つけた恋。

やっと手が届いた幸せ。




「大学に矢野が来た時は焦ったよ。行くか直前まで迷ったけど、来て良かった」

「……うん」

「やっと手に入れた」




腕を解き、律の顔を見る。

すると手が伸びてきて、私の頬に触れた。




「誕生日おめでとう、茜」




喋ったら泣いちゃう気がして、唇を噛み締めて頷いた。




「好きです。茜、俺と付き合ってください」

「はい……っ、勿論」





綺麗な顔がゆっくり近付いてきたのを確認して、私は目を閉じる。


二度目のキスはもう、涙の味はしなかった。





「ねえ、律は幸せですか……?」

「ああ、幸せだよ」





END