世界で一番、ずるい恋。




「何をお願いしたの?」

「んー、秘密」



内容を聞かれて少しドキッとしたけど、さっきまでの浩也の真似をして切り抜ける。




「俺は、茜が幸せでありますようにってお願いしたよ」




私と似たようなお願いだななんて呑気なことを思った。




「だからさ、茜?」




一歩、浩也が近付いてきた。

真剣なその声は、微かに震えていた。





「……一つだけ、答えてほしいことがある」





そう言うと浩也は私に背を向けた。

それにつられて彼の後ろに視線を向けた瞬間、時が止まった。





「……嘘、でしょ?」





だって、浩也の向こう側。

私の瞳は、信じられない人を捉えてしまったから。



諦めたはずだった。

忘れたはずだった。

想いに鍵をしたはずだった。



それなのに、想いはいとも簡単に溢れてきた。

まるでずっとそこにあったように、私の心を占めていく。