浩也との約束の日、私の家に迎えに来た車に乗り込んだ。
どこに行くの?そう尋ねても答えてくれず、辿り着いたのは、どこかの山奥だった。
「ねえ、浩也。……ここ、どこ?」
「ひーみつ」
不思議に思って聞いてみたけど、やっぱり浩也は答えてくれない。
何があるのか分からずに私は後ろをついて歩く。
少し急な斜面を見ながら、言っておいてくれたらこんなヒールで来なかったのに…って思った。
せっかくのオシャレも、無駄だったかな?
「ほら、見える?」
少し歩いた頃、嬉しそうに浩也が少し先を指差した。
「……あれのこと?」
その先に見えたのは、崖の前に不自然に一本立つ樹木だった。
「そうあれは、願いが叶う木なんだって」
「……願いが、叶う木?」
その言葉に首を傾げる。
あまり言い伝え等に詳しくない私にとって、それは初耳だった。

![[短編]初恋を終わらせる日。](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.790/img/book/genre1.png)