世界で一番、ずるい恋。




だけどそれも一瞬で、律のその台詞で我に返った。



「……ご、ごめん」



慌てて律から離れるけど、顔が見れない。


ぎゅっと握った右手。

……ダメだ、これじゃ私、写真撮ってなんて頼めないよ。




「……茜はさ、幸せ?」




ああ、この人はまだ私のことを名前で呼んでくれるんだって思った。

あの偽物の関係は彼の中でなかった事になってないんだって思ったら、嬉しかった。




「……うん。律は、幸せ?」




私も今日は律って呼んで良いんだって思うと、嬉しくて、悲しかった。

きっともう会うことはない。

最後だから、律はこうやって優しくしてくれてるんだ。


そう思うと、上手く笑えなくなる。

嫌なのに。

律の前では、笑っていたいの、頑張れ、私。




「……俺は、茜が幸せだったら幸せだよ」




ーーなのに、律はそんなことを言う。

ただ一言幸せだって言ってくれればいいのに、どうしてなの。