なのに、恋那ちゃんが突然そんなことを言うから何も言えなくなってしまった。
だってこんな風に突然自分の名前が出てくるなんて、欠片も思ってなかったから驚いた。
「彼の中には、ずっとあなたがいた。茜ちゃんしかいなかった。どんなに想っても、彼の心に私が入る隙なんて一ミリもないって気付いちゃったの」
恋那ちゃんの瞳が私を捕らえる。
悲しみ、切なさから不規則にゆらゆら揺れる彼女の瞳。
「そしたら、思ったの。手に入らないなら、彼の大事なものを壊してやろうって。とことん嫌われて、彼の記憶に焼き付いてやろうって」
だけど、その言葉を発した瞬間、色を変えた。
そんな彼女に胸が締め付けられた。
握り潰されるようにキリキリと痛む。
それは、きっと同じだったから。
私と同じで、彼女の気持ちが痛いほどに分かってしまったからーー。

![[短編]初恋を終わらせる日。](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.794/img/book/genre1.png)