恋那ちゃんみたいな可愛い子にアピールされて見向きもしないって、すごい人だな……。
お世辞とかじゃなくて、素直にそう思った。
「最初はゲーム感覚だったけど、途中から本気で好きになってた。好きになって欲しい、って初めて思った。でも、そしたら…分からなくなった」
白く細い手が、ぎゅっとスカートを握りしめた。
微かに彼女の手を震えさせているのは、悲しみなのか、それともまた別の何かなのか。
「人を好きになったことなんて無かったから、どうしたら良いのか分からなかった。ただ、見つめることしか出来なくなった。…でも、そしたら分かったの」
「何が、分かったの…?」
「彼が誰のものにもならないのは、好きな人がいるからなんだって」
……なんて返せば良いんだろう。
初めて好きになった人には好きな人がいた。
初恋は叶わない、なんてよく言うけど、本人にとってはそんなん簡単な言葉じゃ片付けられない。
彼女を傷付けない言葉を必死に探す。
「それが、茜ちゃん。あなたなの」

![[短編]初恋を終わらせる日。](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.791/img/book/genre1.png)