「もしかして陽果と律は、数学終わりに階段で話してた時に一緒にいたの?」
極めて明るく振ってみたけど、反応はナシ。
ということはYESってことか。
何よりも、下を向き、堪える彼女が物語ってる。
「そっか、そうだったんだ…」
律、陽果のことなにも言わなかったな。
きっと、律なりに色々考えてくれたんだよね。
回りが優しすぎて、良い人すぎて、自分が、どんどん嫌いになるよ。
「陽果、大好きだよ」
もうね、大好きなんかじゃ表せないくらいに、大好き。
だから、分かって?
私はあなたの傍にいたらダメなの。
「今まで、ありがとね」
そう別れを告げて立ち上がった。
だけど背を向けて、立ち去ろうとしたら制服の袖を掴まれて、阻まれた。
後ろに引っ張って、私が前に進もうとするのを止める。
あなたの道は、そっちじゃないというように。
「先生だけが男じゃないんだよ!?……千堂くんじゃ、ダメなの!?」