世界で一番、ずるい恋。




「さーて、この前の時とは服装が違うし写真撮っておくか」





そう言うと綺麗な弧を描いた、唇。

だけど、律は決して笑ってなんかはいない。





「本当は音声も欲しいけど、この距離じゃ無理だよなー」

「……数学準備室」

「ん?」




スマホを片手に、柱からバレないように二人を撮る律に話しかける。





「あそこなら、ドアの前に立てば中の音が拾えるよ」




そして彼が今、欲しいであろう情報を与える。


あそこなら、拾える。

だって、私はそうやって先生たちの関係を知ったんだから。




「サンキュ、茜」




あの瞬間を思い出したり、話したりするのは辛い。

胸の中にどす黒い感情が渦巻いて、苦しくてたまらなくなる。

だけど、それでもそれによって彼が少しでも笑ってくれるなら、良いかなと思えた。