「……そっか、嫌われてたのか俺」




その言葉に何も言えずに黙る。


だってそんなこと、あるわけない。

だけどそんなこと、口が裂けても言えない。




嫌いじゃないよ、先生。

どんなに頑張っても私は嫌いになれない。




「そりゃ嫌いなやつの授業聞いて、成績なんて上がらないよな……っ」




私が嫌いなのは他の誰でもない。

……私自身なんだよ。




「数学も嫌いになるわけだ……ははっ」




もう喋らないで欲しかった。

無理してまで笑わないで欲しかった。




「気付かなくて、悪かったな……阿波」




私はどこへ向かっていこうとしてるんだろう。

行き場をなくした愛を抱えて、憎しみを織り混ぜて、何をしたいんだろう。




身勝手な嫉妬で傷付けて、苦しめる。

私の想いは、私自身は……どこへ行こうとしてるのだろう。