世界で一番、ずるい恋。






「叶わない恋ってさ、諦める人もいれば、粘る人もいる。そしてーー他人の恋をぶっ壊してでも叶えようとする人もいる」

「なあ、頼むからもっと分かりやすく……」




今言ってることは分かる。

それにきっと俺は三つ目のタイプだ。


わざわざ阿波の恋をぶっ壊して、俺は彼女の弱ったところに漬け込もうとした。

でもそれが今、なんの関係があるんだ……?





「ならさ、千堂くんは好きな人を傷付けるにはどうしたら良いと思う?」

「……好きな人を、傷付ける」

「そう。手に入らない悔しさで愛しさは気が付けば、憎悪に変わるの」




……そんなの、分かるわけがない。

だって俺は矢野とあの女をわざとくっつくようにして、阿波に知らせたわけじゃない。


第一阿波は暴走して、俺の作戦も失敗してるし。



「でもね、千堂くんに真正面からぶつかって傷付けようとしたって効果なんてないでしょ?」




悲しげな声色が紡ぐ言葉が、麻野の言おうとしてることが未だに完全に理解できない俺ですらを不安にさせる。